【2024年度】広島大学情報科学部編入体験記
はじめに
はじめまして.ふかだ(@towardbluesky)と申します.
2023年6月17日に実施された広島大学情報科学部編入試験に合格したので,体験記を書きます!
自己紹介
- 名前:ふかだ
- 出身:N高専情報科
- 席次:1年生1位,2年生2位,3年生1位,4年生1位
- 受験年度:2024年度(令和6年度)
- 併願校:大阪大学基礎工学部,京都工芸繊維大学
-
TOEIC:885点(L:475点,R:410点)
広島大学の志望動機
勉強内容
英語(TOEIC)
- DUO3.0(5周)
- 金のフレーズ(10周)
- 公式問題集(6〜8の3冊を1回ずつ)
- 文法特急(3周)
4年生の10月に885点(L:475点,R:410点)を取得しました.以下に勉強法を書きます.
4年生の3月からDUO3.0とシャドーイングを始めました.DUOは1日1SECTION,シャドーイングは公式問題集のPart3,4の音源を1日1つやりました.これを9月まで毎日続けました.リスニング対策は公式問題集のシャドーイングが確実です.ディクテーションや洋画鑑賞も試しましたが,効果は薄かったです.シャドーイングはディクテーションより難しいですし,最初は30秒の音源のシャドーイングに40分くらいかかります.やり始めが一番きついですが,そこさえ耐えればこっちのものです.
4年生の5月から金のフレーズをやりました.ここで意識したことは
- 英語を日本語に変換すること
- 単語の品詞
の2点です.1点目ですが,LRでは日本語を英語にする能力は不要です.よってひたすら英語を日本語に変換する訓練をしましょう.
2点目ですが,単語の品詞はめちゃくちゃ大事です.名詞,形容詞,副詞,接続詞などの区別を単語学習の段階で身に着ければ,リーディングがとても楽になります.特に高専生は品詞を軽視している人が多い気がします.
4年生の7月から文法特急を始めました.これはPart5と6の対策です.TOEICのリーディングはいかにPart7に時間を残すかです.なのでこの本でPart5と6を補強しました.
4年生の9月(本番直前)に公式問題集を解きました.分からない単語や表現が出てきたら別紙にメモしますが,そのときは絶対に品詞を書くようにしました.また,動詞なら自動詞か他動詞かも書きました.繰り返しになりますが品詞や自動詞/他動詞の区別はめちゃくちゃ大事です.こういった細かい部分をコツコツやることで,解答の確度が高まります.
TOEIC対策をまとめると
- リスニングは公式問題集のシャドーイング
- リーディングはPart5,6を早く終わらせる
- 品詞などの細かい部分が大事
- 英語を日本語に変換する力さえ鍛えればOK
となります.
数学
確率統計以外は徹底研究と過去問特訓のB問題までで太刀打ちできます.ただ確率統計はかなり難しいので,1つの教科書をじっくりやるべきだと思います.教科書の後は過去問特訓や大学編入のための数学問題集のC問題までやった方がいいです.
以下は私の勉強スケジュールです.
4年生の3月から徹底研究を1日1ページやりました.1周目は何もわかりませんでした.大事なのは何が分からないかを言語化して,解消していくことです.1周目で絶望してやめないでください.
4年生の12月から過去問特訓を始めました.こちらも1周目は意味不明でしたが,分からない問題の分からない部分を明らかにすることで徐々に解けるようになりました.
5年生の3月から大学編入のための数学問題集を始めました.解説が丁寧なのと,ベクトル空間と線形写像の説明が一番わかりやすいです.徹底研究と過去問特訓だけでベクトル空間と線形写像の理解を完璧にするのは無理です.また,この本は過去問特訓をある程度やった後にやらないと間違いなく挫折します.私は一回挫折しました.
同じ時期に新確率統計(大日本図書)を勉強しました.推定と検定については正規分布を使うものだけ理解すればいいと思います.
専門(C言語)
ポインタについて復習しました.C言語の授業があるなら復習だけで十分だと思います.1から独学する場合は,基本的なソートの実装とポインタがゴールです.C言語の解説は本だけでなくYoutubeにもいっぱいあるので便利です.
出願情報
出願者:29名
受験者:26名(うち女子2名)
合格者: 8名
例年の合格者は5名前後だったので,8名も受かっていて驚きました.
当日のスケジュール
09:00 開室
09:10 試験室に集合
09:30 筆記試験開始(数学+C言語)
12:00 筆記試験終了
昼休み
13:10 試験室に集合
13:30 面接開始
面接が 終わり次第帰宅してOK
試験の内容
筆記試験
全体的には難化していました.以下で詳しく書きます.
筆記試験の傾向としては,大問1は色々,大問2は偏微分と重積分,大問3は線形代数,大問4は確率統計,大問5はC言語です.
大問1(難易度:例年通り 得点率:10割)
(1)微分方程式の問題.過去問は2階線形でしたが,今年は連立微分方程式が出ました.
(2)回転行列の3乗が単位行列となるようなθを答える問題.単位行列が恒等変換を表すことと,360度の回転が恒等変換であることに気づけばすぐに解けます.
(3)確率変数の2乗平均を求める問題.分散 = 2乗の平均 - 平均の2乗を用います.
大問2(難易度:やや難化 得点率:6~7割)
(1)ガウス積分を証明する問題.重積分を利用してほしそうでした.
(2)2変数関数の最大値を求める問題.偏微分するだけですが計算ミスしました.
(3)前問の関数を広義重積分する問題.(1)の結果を利用することになります.
大問3(難易度:難化 得点率:1~2割)
(1)αとβが含まれる3次正方行列の固有値を求める問題.よくわからなかったのでα=0の場合やβ=0の場合のみ記述しました.
(2)行列の多項式で表された2次形式の最小値を求める問題.誰も解けていないと思います.
(3)log(detA)+tr(A-1)の最小値を求める問題.誰も解けません(断言).
大問4(難易度:例年通り 得点率:10割)
(1)yの平均をxの平均で表す問題.yi=axi+bという関係式が与えられています.
(2)yの標準偏差をxの平均などで表す問題.√a2=|a|であることに注意しましょう.
(3)xとyの共分散をxの平均などで表す問題.Σの変形が少し難しめです.
(4)以上の結果を用いて相関係数を求める.答えはaの正負によって1または-1になるはず.
(5)平均が0,標準偏差が1のときのaとbを求める.標準正規分布の問題?
(6)μ±2σに何パーセントくらいのデータが含まれるかという問題.誘導がないので知らなければ絶対に解けませんが,たまたま覚えていたので95%と書きました.
大問5(難易度:例年通り 得点率:8割)
(1)配列の内容を表示する関数を書く問題.
(2)バブルソートとクイックソートでそれぞれswap関数が何回呼び出されるかを数える問題.クイックソートの方は時間と回答欄が足りず,解けませんでした.
(3)swap関数の中身を書く問題.ポインタの知識が必要です.
(4)ソートを昇順から降順にするにはどこをどう書き換えるかを答える問題.比較演算子の向きを変えるだけです.
筆記試験全体の出来は7割くらいです.過去問は9割くらいとれていたのですが・・・.今年は難化していたのと,私はTOEICと席次が高めだったので受かったんだと思います.
面接試験
まず,受験番号が1~10,11~20,21~29という3つのグループに分かれました.そのあと待機室から一人ずつ誘導され,3つの部屋に分かれて面接を受けました.
時間は10分弱.面接官は2人.
- 受験番号と名前は?
→受験番号が7桁もあるので頑張って覚えましょう.
- 志望動機は?
→機械学習関連のことを言いました.セイバーメトリクスについて語りました.
- C言語における構造体とは何か.またその使用目的は?
→唯一の口頭試問でした.いざ説明しろと言われると意外と難しかったです.
- 今までどんなプログラミング言語を勉強して,具体的にどんなプログラムを作りましたか?
→授業でやった言語を答え,それぞれで作ったものを答えました.
このように卒研については聞かれませんでした.また口頭試問はC言語についてだけであり,統計や機械学習については特に聞かれませんでした.
伝えたいこと
- 編入試験の問題を全て解こうとするのは無謀です.まずは全体を見渡して,解けそうなものから解きましょう.今回でいえば大問3を解く必要性は非常に低いです.
- 全く分からない問題が出てきたら場合分けするのが有効です.a=0など極端な場合を書くだけでも部分点をもらえる可能性があります.
- 面接は合否にあまり関係しない気がします.普通に日本語のコミュニケーションを取れれば十分だと思います.
- 調査書の提出が無いため,どうしてもアピールしたいことは志望動機に絡めて早めに伝えるべきです.
- 何かあればTwitter(@towardbluesky)にDMください.頑張る皆さんをサポートさせてください.
余談
広島大学情報科学部の受験番号は事前の成績順だという噂があります.私はTOEICが885点,席次が1年1位,2年2位,3年1位,4年1位で,受験番号が1番でした.受験番号2番の方はTOEICが780点,席次が3位くらいでした.少なくともアイウエオ順や出願順ではないようです.ちなみに2番の方も合格していました.おめでたいです.